おうちが理科室に!空き缶とタコ糸で科学の「爆音楽器」を作ろう【カラスコップ】

桑子研
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「何か面白いことをしてあげたいな」と思っていませんか? 今回は、おうちにある身近な材料を使って、子どもたちが目を丸くするような「不思議な楽器」の作り方をご紹介します。必要なのは、粉ミルクなどの空き缶と、タコ糸、そして少しの好奇心だけ。これらが、まるで動物の鳴き声のような、驚くほど大きな音を奏でる楽器に大変身します。

この実験の面白さは、ただ音が出るだけではありません。実は、この「爆音」には、音を大きくする「科学の仕組み」が隠されています。アコースティックギターのお腹の部分や、ピアノのフタを開けた時に見える板。これらは「共鳴板」と呼ばれ、音が響き、増幅されることで、楽器から美しい音色を生み出しています。今回の手作り楽器も、この共鳴板の原理を利用したものです。

中学校や高校の理科では、共鳴板の役割について詳しく学ぶ機会は少ないかもしれません。だからこそ、子どもの頃に「音の不思議」を体験しておくことは、将来の学びへの大きなきっかけになります。なぜこんなに大きな音が出るんだろう? どうしてこの材料を使うといいんだろう? そんな疑問が、子どもの探求心に火をつけます。さあ、親子で一緒に、科学のレシピを試してみましょう!

【科学のレシピ】身近なもので「カラスコップ」を作ろう!

まずは、材料の準備です。粉ミルクの空き缶など、大きめの缶を使うと、より大きな音が楽しめます。

【用意するもの】

  • 粉ミルクなどの大型の缶
  • 缶切り
  • タコ糸
  • 楊枝
  • ビニールテープ
  • ティッシュ
【準備のポイント】
缶の口部分の底を切り取る際は、手を切らないように保護者の方が必ず作業を行ってください。切り口は鋭利なので、ビニールテープでしっかりと覆うようにしましょう。

驚きの爆音!「カラスコップ」の作り方と使い方

準備ができたら、いよいよ製作開始です。

① 粉ミルクなどの缶の口の底を、缶切りで切り取りあけます。

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② 缶切りで空けた部分が危ないので、ビニールテープで縁をおおいます。

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③ フタの中心に穴をあけて、タコ糸を通します。

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④ タコ糸の先に楊枝をつけて、引っ張っても外れないようにします。

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⑤ フタをもとにもどします。これで完成!

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⑥ タコ糸を濡れたティッシュでこすってみましょう。次の動画を御覧ください。

完成したら、さっそく音を鳴らしてみましょう。タコ糸を濡れたティッシュでこすってみてください。すると…「ブオーー!」という不思議な爆音が鳴り響くはずです。

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この様子は、以下の動画で確認できます。ぜひお子さんと一緒に試してみてください!

この大きな音は、タコ糸をこすって生まれた振動が、缶全体に伝わり、缶の底の大きな面積で空気の振動を増幅させることで生まれます。この缶が、音を大きくする「アンプ」や「共鳴板」の役割を果たしているのです。

この原理は、紙コップでも簡単に試すことができます。紙コップの底に穴を開けてタコ糸を通すだけでも、大きな音が出ます。さらに、この応用として、タコ糸を通して音を伝えることで、紙コップがまるで「おしゃべり」するような実験もできます。以下の動画は、タコ糸で声の振動を伝え、「おめでとう!」と聞こえる様子を示しています。

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【しゃべる紙コップ】不思議な音を出すおしゃべり紙コップ

空き缶や紙コップという身近なものが、科学の力でこんなにも面白い楽器に変わる。子どもの「なぜ?」という好奇心を育むのに最適なこの実験を、ぜひ春休み中に親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。

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